何のためにHACCPを導入するのか?
HACCPを導入するにあたっては、その対象を明確にする必要があります。もちろん、食品安全に際限なくお金をかけられるなら問題はありませんが、そんなことはできません。避けるべきことが何なのかを見極め、焦点を絞り込む必要があります。
死亡事故回避は最優先
食品事故で最も重大なものは死亡事故です。食品事業者が提供したものが原因で死亡事故が起これば、まず致命的です。死亡事故は、絶対に起こす訳にはいきません。死亡事故のおそれのあるものは、最優先で対応しなければなりません。
被害者数を抑える
重篤な影響がなくても、多くの方に被害を与えてしまえば重大な問題になってしまいます。被害者数が増えそうな食品事故については、重点的な対策が必要になります。
異常に早く気づく
実際には被害が発生していなくても、状況によっては製品回収が必要になることがあります。食品の場合、極めて多数の、特定できないお客様に販売することが多いので、製品回収となればたいへんなことになります。もちろん、品質事故を起こさないようにしなければなりませんが、特に製品回収が必要になるような品質事故には、できるだけ早く気づき、事故発生の対象を最小限にとどめることが必要になります。
目に見えない事故を防ぐためのHACCP
食品安全の難しさは、原因が目に見えないところにあります。目に見える問題なら対応しやすいのですが、死亡事故を起こす原因、多くの被害者を出す原因のほとんどは目に見えません。
そこでHACCPでは、できるだけ目で見られるようにします。例えば、「牛乳を63℃で30分間加熱すれば、大腸菌群は生きていられない」ということが分かっていれば、大腸菌が生きているか死んでいるかは目では見えないけれども、温度と時間なら目で見て確認できるようになりますし、その数値をチェックしていれば異常に気づくことができるようになるのです。