ここまで9回にわたって、食品安全の目指すものとは何か、食品事故の実態はどうなっているのか、食品の安全を脅かす要因にはどのようなものがあるのか、そしてHACCP導入の前提条件となる一般的衛生管理プログラムまでを概観してきました。
いよいよ、今回からこの連載のテーマである「HACCP」についてです。
HACCPとは選択して集中的に管理すること
HACCPを一言で説明すると、食品の危害要因となるものを特定し、そこを重点的に管理することです。
食品は、さまざまな危害要因に脅かされています。その要因に対して一律的に対応することは得策ではありません。あれもこれも重要としてしまうと、本当に重要なところを取りこぼしてしまう危険性があるからです。
そうならないよう、HACCPでは危害要因を分析し、絶対にミスをしてはならない工程を特定して、その工程に基準を設けて管理します。
HACCPの7原則・12手順
HACCPシステムを構築・運用するために、次の7原則・12手順が定められています。
手順1~5は、原則1~7を進めるための準備段階です。食品安全に詳しい専門家を集め、製品、顧客、製造プロセスを調査します。
手順6~9(原則1~4)は、HACCPの急所です。危害を分析し、重要管理点の設定と具体的な管理手段を決定します。
手順10~12(原則5~7)は、HACCP運用のルールづくりです。問題発生時の対応、HACCP運用実態の確認、記録の維持管理について、あらかじめ決めておきます。
次回から、HACCPの7原則・12手順を詳しく見ていきます。